【園長先生リレーエッセイ】蒲原学園幼稚園
お知らせ
2021/09/01
清水区の園長先生によるリレーエッセイが始まりました。清水区の一番東に位置する蒲原学園幼稚園からのスタートという事で、最近の出来事を書かせていただきます。
蒲原学園幼稚園は昭和5年「財団法人蒲原家政女学校」として設立され、「蒲原女子商業高等学校」「蒲原学園高等学校」と名前を変え、昭和24年に地域の幼児教育を担うべく「蒲原学園幼稚園」となりました。それから71年目となる昨年度、老朽化した園舎を建替える大事業が始まり、令和3年4月1日に無事、大きくて丈夫な新園舎へ引っ越しをしました。
旧園舎の解体前には、たくさんの卒園児が園舎に会いに来てくれたり、在園児たちによるお別れ会をしたりと、71年分のお礼を大勢のみんなで伝え、赤い屋根の可愛い木造園舎との生活は終わりました。しかし、そんな旧園舎の解体直前に、「古い建物の一部を新しい建物の目立たない所に使うといい」という話を聞き、解体を始めた業者さんに急遽お願いをして、旧園舎の一部を新園舎のある場所に再利用してもらえる事になったのです。
大きくて頑丈で安全な新しい園舎の完成はとても嬉しく、ずっと待ち望んでいた事だったのですが、長い間苦楽を共にしてきた旧園舎にはとても愛着があり、どことなく悲しい気持ちになっていたのも事実で、「古い園舎が好きだから壊さないでほしい」なんて言ってくれる園児がいたりして、自分でも旧園舎への複雑な思いがモヤモヤしている中、この「こっそり部分移植作戦」によって自分の気持ちもスッキリさせることができ、旧園舎の想いも引き継ぐことができた気がします。
掲載した写真に答えがありますが、普段は見えない可倒式のステージの背面に、旧園舎の保育室で使っていた腰壁を移植しました。出来上がってみると、新しいホールの壁にしっくりと馴染んで、柔らかい空気感を演出してくれ、とても良い仕上がりになりました。71年間もの間、大勢の子どもの笑い声・歌声・泣き声を聞き、様々な行事を何度も見続けてきた古い園舎の一部は今や、「蒲原学園一番のベテラン」として、入園式・お誕生会・発表会・卒園式などで、これから新しい子どもたちを温かく迎え、学び・巣立っていく大切な節目を特等席から見守ってくれるんだと心強い気持ちになりました。
学校法人蒲原学園
蒲原学園幼稚園
園長 田邊朝子